ゆく年 くる年(2020年)

今年、2020年はまるで3か月間しかなかったような年でした。具体的にはその3か月間とは10月から12月、すなわち「ご注文はうさぎですか? BLOOM」が放送されていた期間です。残り9か月は虚無でした。

2020年1月1日、毎年恒例西鉄天神大牟田線・太宰府線の大晦日~元旦終夜臨時の調査観察から始まった1年は、それから1か月ほどで闇に呑まれたようになってしまいました。いついかなる時も未来は不定、「一寸先は闇」との格言通りなのですが、今年ほどこの言葉を実感したことはありません。東洋占術をたしなむ占い師(自称)としても、この状況は全く見通せませんでしたので、占い師を廃業します(そもそも開業していない)。

2月末に大学院入試(博士後期課程)を受け、合格内定を得たその足で佐賀の祖母に会いに行ったのが、現時点で祖母に会った最後の日となっています。COVID-19の影響で祖母のいる施設への立ち入りが制限され、その後祖母は入院してしまったため、県外の民である自分と家族は未だ面会がかなわない状態です。

3月末、正式に所属することになる研究室の引っ越し・部屋のリフォーム作業をして間もなく、大学も閉鎖されてしまいました。それから夏まで、指導教員や同じ研究チームのほかの学生とはオンラインでのやり取りとなりました。自分のいる情報系の部門ですら、COVID-19以前のオンライン会議整備状況は大して進んでいませんでしたので、これが初の試みともいえるものでした。

5月のコミックマーケットは中止となってしまい、同人誌を頒布する機会が消えて在庫の山だけが残りました。その山は半年経った今もそのままです。

同じ時期、西鉄電車(天神大牟田線・貝塚線)は緊急事態宣言に伴う特別減便ダイヤが施行され、土日祝日の列車本数が半減する異常事態となりました。その時の時刻を丹念に調べ、同人誌としてまとめました。

この頃、「ご注文はうさぎですか?」で二次創作作品に出会い、それをきっかけにして二次創作の世界に足を進めました。7か月の間に20本近い作品を書き、長編を引き続き書いています。

夏、大学とアルバイト以外では特に出かけることもなく、自宅でひたすら冷房漬けになって研究活動を進めていました。夏にようやく大学が再開されはじめ、リフォーム直後から長く立ち入れなかった研究室を整備する活動を始めました。

秋、長い間心待ちにしていた「ご注文はうさぎですか? BLOOM」の放送が始まりました。このために万難を排して生き残ってきたといっても過言ではありません。原作漫画をもとに大きく発展させて、時には大胆に再構成し、すべての瞬間に余すところなく意味を行き渡らせた最高の作品です。私一人では解釈しきれない部分を、Twitterの同志が感想という形で深く掘り下げ、語ってくれるのを読みつつ、作品を大いに楽しむことができました。

11月、学会での研究発表のため、久しぶりに県外、伊豆地方、および南関東まで遠征しました。しかし、COVID-19がこの直後からまた猛威を振るい始め、12月の学会は完全オンライン開催となりました。

今年、もはや丸ごと迷宮入りしてしまったかのような事態は、まだしばらく続きそうです。来年・2021年の目標は、今までよりももっと根源的なもの、「1年間生存する」になります。まさに万難を排して生き残り、自分の仕上げるべき作品の数々を仕上げることを目標に生きていこうと思います。もはや取り戻せなくなったものは数多く、しかしそれでもあきらめず、今失われようとしているものを何とか失わないよう繋ぎ止めるための闘いを進めます。